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この記事の答え
- 登録しないこと自体に罰則はありません。ただし登録しないと「行政書士」ではありません。合格した人は「行政書士となる資格を有する者」です(行政書士法2条1号・6条1項)
- 宅建と違って、名乗ると罰則があります。行政書士でない者が「行政書士」やこれと紛らわしい名称を使うと、100万円以下の罰金です(19条の2・22条の4)。名刺に「行政書士」とは書けません
- 「登録だけ」はできます。ただし事務所が要り、登録と同時に行政書士会の会員になり、2年以上仕事をしないと登録を抹消されることがあります(8条1項・16条の5・7条2項1号)
→ 登録に進むなら登録費用(国の分と県の会の分)/開業まで考えるなら法律が要求する7つ/宅建の場合は宅建版の記事へ
私は行政書士として登録し、事務所を営んでいます。この記事の制度の部分は、行政書士法の条文をe-Govで直接確認して書いています(確認日は末尾の出典に)。
合格しただけでは、まだ「行政書士」ではない
行政書士法は、試験に受かった人を「行政書士」とは呼んでいません。条文はこうです。
次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。
行政書士法 第2条(抜粋)
一 行政書士試験に合格した者
行政書士となる資格を有する者が、行政書士となるには、行政書士名簿に、住所、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他日本行政書士会連合会の会則で定める事項の登録を受けなければならない。
行政書士法 第6条第1項
- 試験に合格するこの時点では「行政書士となる資格を有する者」(2条1号)
- 日本行政書士会連合会の名簿に登録されるここで初めて「行政書士」になり、行政書士証票が交付されます(6条1項・6条の2第4項)
宅建は「合格・登録・宅建士証」の3段階でしたが、行政書士は「合格・登録」の2段階です。登録の申請は、事務所の所在地にある都道府県の行政書士会を経由して、日本行政書士会連合会に出します(6条の2第1項)。
宅建と違い、名乗ると罰則がある
ここが、宅建といちばん違うところです。
行政書士でない者は、行政書士又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
行政書士法 第19条の2第1項
そして違反した人には、100万円以下の罰金が定められています(22条の4)。合格していても、登録していなければ「行政書士でない者」です。
| 宅建(宅地建物取引士) | 行政書士 | |
|---|---|---|
| 合格しただけの呼び名 | 試験の合格者 | 行政書士となる資格を有する者 |
| 名乗れるようになる時点 | 宅建士証の交付を受けたとき | 名簿に登録されたとき |
| 名称を使うことを禁じる規定 | 見当たらない(宅建業法の全条文を検索) | ある(19条の2) |
| 罰則 | — | 100万円以下の罰金(22条の4) |
宅建の側の話は宅建に受かって登録しないとどうなるかにまとめています。両方持っている人は、同じ感覚で行政書士を名乗らないようにしてください。
名刺と履歴書には、何と書けるか
| いまの段階 | 名刺 | 履歴書 |
|---|---|---|
| 合格しただけ | 「行政書士」は書けない | 行政書士試験 合格 |
| 登録した | 行政書士 | 行政書士登録(日本行政書士会連合会 登録番号 第○○号) |
条文には「紛らわしい名称」の具体例は書かれていません。ですから「行政書士(登録予定)」「行政書士有資格者」のような書き方がこれに当たるかどうかは、条文だけでは決まりません。
確実に言えるのは、試験の結果として「行政書士試験 合格」と書けば、行政書士という名称を用いたことにはならないということです。迷ったら、こちらに寄せてください。なお履歴書の書き方そのものを定めた法令はありません。

登録しないと、できないこと
行政書士でない者ができない業務は、19条1項に書かれています。
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。
行政書士法 第19条第1項(本文)
第一条の三の業務は、官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類を作ることです。条文が挙げている要件は「他人の依頼を受け」「報酬を得て」「業として」の3つ。つまり、人から頼まれてお金をもらって許認可の書類を作る、ということが登録なしではできません。
逆に、この業務をしないのであれば、登録しなくても困ることはありません。合格を転職や社内での評価に使う、将来の独立に備えて持っておく、という使い方なら、登録は急がなくていいのです。
「登録だけしておく」はできるのか
できます。ただし、登録にはセットで3つのことがついてきます。
- 事務所が要る行政書士は業務を行うための事務所を設けなければなりません(8条1項)。登録の申請も、事務所の所在地の行政書士会を経由します(6条の2第1項)
- 登録と同時に、行政書士会の会員になる登録を受けた時に「当然」その都道府県の行政書士会の会員になります(16条の5第1項)。入らない選択はできず、会費がかかり続けます
- 2年以上仕事をしないと、抹消されることがある連合会は「引き続き二年以上行政書士の業務を行わないとき」、登録を抹消することができます(7条2項1号)
条文は「抹消することができる」です。2年たったら必ず消える、という書き方ではありません。とはいえ、「登録だけして何もしない」状態を法律が想定していないことは、この条文から読み取れます。
事務所は自宅でも構いませんが、独立性などの条件があります。費用は国の分(全国共通55,000円)と県の会の分に分かれ、会の分は会ごとに違います。詳しくは行政書士の登録費用の記事と、開業で法律が要求していることの記事にまとめました。
もうひとつ、法令ではありませんが大事な点です。会社員や公務員の場合は、勤め先の就業規則で副業や兼業が制限されていることがあります。登録して事務所を構えると「業を営む」形になるので、登録を考える前に、まず勤め先の規則を確認してください。

合格そのものに、期限はあるのか
「何年も登録しないと合格が無効になるのでは」という心配があります。
2条1号は「行政書士試験に合格した者」とだけ書いていて、期間の定めはありません。資格を失う場面を並べた2条の2(欠格事由)を見ても、未成年者・破産・刑罰・懲戒などが並ぶだけで、「合格から一定期間が過ぎたとき」という事由は書かれていません。
条文を読んだ限り、合格の効力を期間で失わせる規定は見当たりませんでした。「一生有効」と書いた条文があるわけではなく、失効させる規定がない、という言い方が正確です。欠格事由に当たらなければ、何年後でも登録を申請できます。
登録したあとで、やめるとき
業をやめる届出をすると、連合会は登録を抹消しなければなりません(7条1項2号)。抹消されると、その時に行政書士会も当然に退会します(16条の5第3項)。
自分で廃業した場合、そのこと自体は欠格事由に挙がっていません。合格者であることは変わらないので、条文上はあらためて登録を申請できます(2条1号)。ただし、処分によって登録を取り消された場合は、3年間は資格がありません(2条の2第5号)。
講座を比べてから決める
受講料も、各社が公表している合格率も、条件がそろっていないと比べられません。当サイトでは公式ページの数字を確認日つきで並べています。
- 資料請求は無料で、届いてから考えれば十分です
- 合格率は各社で集計の母集団が違うので、横並びにはしていません
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まとめ
- 合格しただけでは「行政書士となる資格を有する者」。行政書士になるには登録が要る(2条1号・6条1項)
- 登録しないこと自体に罰則はない
- ただし行政書士でない者が「行政書士」や紛らわしい名称を使うと100万円以下の罰金(19条の2・22条の4)。宅建とはここが逆
- 名刺には書けない。履歴書は「行政書士試験 合格」
- 登録しないとできないのは、他人の依頼を受け報酬を得て業として書類を作ること(19条1項)
- 「登録だけ」は可能。ただし事務所が要り(8条1項)、会の会員になり(16条の5)、2年以上業務をしないと抹消されうる(7条2項1号)
- 合格の効力を期間で失わせる規定は、条文に見当たらない
登録に進むなら、費用の内訳は登録費用の記事、開業の準備は法律が要求する7つの記事に。宅建も持っている人は宅建版と見比べてください。
よくある質問
行政書士に受かったあと、登録しないと罰則はありますか?
登録しないこと自体への罰則はありません。ただし登録していない人は行政書士ではないため、「行政書士」やこれと紛らわしい名称を使うと行政書士法19条の2に違反し、100万円以下の罰金の対象になります(22条の4)。
登録していない場合、名刺や履歴書に「行政書士」と書けますか?
書けません。試験の結果として「行政書士試験 合格」と書いてください。条文は「紛らわしい名称」の具体例を示していないため、「行政書士(登録予定)」のような書き方も避けておくのが安全です。
開業しないで、登録だけしておくことはできますか?
できます。ただし業務を行うための事務所を設ける必要があり(行政書士法8条1項)、登録と同時に都道府県の行政書士会の会員になります(16条の5)。また引き続き2年以上業務を行わないと、登録を抹消されることがあります(7条2項1号)。
出典(2026年9月14日確認)
- 行政書士法(昭和26年法律第4号)1条の3(業務)、2条(資格)、2条の2(欠格事由)、6条(登録)、6条の2(登録の申請及び決定・行政書士証票)、7条(登録の抹消)、8条(事務所)、16条の5(行政書士の入会及び退会)、19条(業務の制限)、19条の2(名称の使用制限)、22条の4(19条の2違反の罰則)——e-Gov法令検索の条文
- 宅地建物取引業法との比較は、同法の全条文を検索した結果による(宅建版の記事の出典を参照)
本記事は行政書士法の条文を整理したものです。「紛らわしい名称」に当たるかどうかの判断や、履歴書の書き方は、条文に具体的な定めがありません。登録の手続き・事務所の要件・会費は都道府県の行政書士会によって異なります。登録を申請する前に、事務所を置く都道府県の行政書士会の最新の案内を必ずご確認ください。
この記事に出てくる人藤本 綾(29・京都/銀行員。育休中に行政書士を狙う) 石井 健吾(34・東京/行政書士に受かった。登録して開業の準備中)
14人の紹介は登場人物にまとめています(記事を読みやすくするための架空の人物です)。
