宅建に合格してから不動産業を開業するまでに、実際に何が要るか【登録・免許・保証協会の費用と期間】

暗い書斎を背景に「合格してから、開業するまで。」の文字と、書類の束と真鍮の鍵を描いたアイキャッチ画像

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宅建の合格発表は、2026年度なら11月25日です。合格証書が届くと「これで不動産屋を開ける」と思いがちですが、実際にはそこから「人の手続き」と「事業の手続き」が2本走ります。資格の登録と、宅地建物取引業の免許は別物です。

私は行政書士として宅建業の免許申請を扱い、自分でも宅建に受かって不動産業を開業しました。この記事では、合格から営業開始までに何が要って、いくらかかって、どれくらい待つのかを、宅建業法・国土交通省・沖縄県の手引き・保証協会の公式ページから整理します。金額と日程はすべて2026年9月3日に確認したものです。沖縄県の例で書きますが、手数料が県条例で決まる部分を除けば、骨格はどの都道府県でも同じです。

目次

全体の流れは「人の手続き」と「事業の手続き」の2本

試験合格・登録実務講習・資格登録・取引士証・宅建業免許の5段階を、費用つきで左から右へ並べた図
合格から営業開始までの5段階。金額は沖縄県知事免許の場合で、2026年9月3日に各公式ページで確認したもの。

まず地図を描いておきます。上の段があなた個人が宅地建物取引士になるための手続き、下の段が会社または個人事業が宅地建物取引業者になるための手続きです。

段階人の手続き(宅地建物取引士)事業の手続き(宅地建物取引業者)
1試験に合格する事務所を決める(独立性・継続性が要る)
2実務経験が2年未満なら登録実務講習を修了する知事免許か大臣免許かを決めて免許申請
3都道府県に資格登録を申請する審査を経て免許通知(はがき)が届く
4宅地建物取引士証の交付を受ける3か月以内に営業保証金の供託または保証協会への加入
5免許業者の専任の取引士として就く届出をして免許証の交付を受け、営業開始

この2本は並行して進められます。ただし下の段の免許には「専任の宅地建物取引士」が要るので、自分一人で開業するなら上の段を先に終えておく必要があります。順番の勘所はここです。

合格から取引士証までにかかるもの

登録実務講習(実務経験が2年未満の人)

宅地建物取引士として登録するには、宅建業に関する2年以上の実務経験が要ります(宅建業法18条1項)。経験が無い人はこの講習を修了すると「同等以上の能力がある」と扱われ、登録できるようになります。国土交通大臣の登録を受けた機関が実施しています。

中身はどこも似た型で、通信学習が約1か月、会場でのスクーリングが2日間(12時間)、最後に修了試験です。修了試験は○×式と記述式で、それぞれ8割以上の正答で修了になります。受講料は2026年9月3日時点で次のとおりでした。

実施機関受講料(税込)構成
総合資格学院20,900円(早期割引17,600円)通信約1か月+演習2日+修了試験
TAC22,000円通信約1か月+演習12時間+修了試験1時間
日建学院24,000円(ネット割引22,000円)通信38時間分+スクーリング2日+修了試験90分
LEC23,000円通信+スクーリング12時間(2日または1日)+修了試験

割引は期限付きなので、申し込む時点で各機関のページを見てください。合格発表のあとに申し込む人が多く、日程は機関ごとに違います。なお沖縄県では、登録申請に使える修了証は申請日から10年以内のものとされています。

資格登録(都道府県知事)

試験を受けた都道府県の知事に登録を申請します。沖縄県の場合、申請手数料は37,000円(沖縄県収入証紙)です。必要書類は登録申請書と誓約書のほか、実務経験証明書または登録実務講習の修了証明書、登記されていないことの証明書、本籍地の身分証明書、住民票の抄本、合格証書のコピー、顔写真です。証明書類は発行から3か月以内のものを求められます。

審査にかかる日数は、沖縄県のページには明記がありません(未確認)。参考として、東京都は「登録の決定には30日程度」と公表しています。書類に不備があればその分延びます。

宅地建物取引士証の交付

登録が終わったら取引士証の交付を申請します。沖縄県の交付手数料は4,500円、有効期間は5年です。

ここで一つ注意があります。合格から1年を超えて交付を受ける場合は、法定講習の受講が要ります。沖縄県では沖縄県宅地建物取引業協会が実施していて、受講料12,000円と県証紙代4,500円の合計16,500円、Web講習なら動画5時間30分の視聴と効果測定で修了できます。合格から1年以内に申請すれば、この講習は不要です。「受かったけれど登録は開業のときでいい」と先送りすると、費用と手間がひとつ増えます。

人の手続きの合計は、講習が約2万円、登録が37,000円、取引士証が4,500円で、およそ6万円です。期間は講習に1〜2か月、登録の審査に1か月前後を見ておくと、合格発表から取引士証まで数か月というのが目安になります。

免許の要件:知事か大臣か、専任の取引士、事務所

事業の側に移ります。宅地建物取引業を営むには免許が要ります(宅建業法3条)。事務所が1つの都道府県内だけなら知事免許、2つ以上の都道府県にまたがるなら国土交通大臣免許です。効力に差はなく、有効期間はどちらも5年です。

手数料は、沖縄県知事免許の新規申請が33,000円(沖縄県収入証紙)、大臣免許の新規申請が登録免許税90,000円です。知事免許の手数料は各都道府県の条例で決まるので、他県では確認してください。

要件で引っかかりやすいのは次の3つです。

  • 専任の宅地建物取引士:事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で置きます(宅建業法31条の3)。一人で開業するなら自分がその1人です。「専任」には常勤・専従の意味があるとされ、細かい基準は国土交通省の「解釈・運用の考え方」と県の手引きに載っています。
  • 事務所:沖縄県の手引きは「継続性」と「独立性」を求めています。宅建業を継続して行える場所で、他の事業者と人的・物的に区別できることが必要です。自宅の一室や共同オフィスは、この点で審査されます。
  • 欠格要件:宅建業法5条1項に15の事由が並んでいます。破産して復権していない、拘禁刑以上の刑から5年経っていない、役員や政令使用人に該当者がいる、などです。法人なら役員全員が対象になります。

審査期間について、国土交通省は大臣免許を「おおむね100日程度」としています。沖縄県知事免許の標準処理期間は県のページと手引きに記載がなく、未確認です(担当は沖縄県土木建築部建築指導課 業務班)。免許が下りると、普通郵便のはがきで事務所に通知が届きます。

免許が下りたあと:営業保証金か、保証協会か

免許の通知が届いても、まだ営業はできません。免許の日から3か月以内に、次のどちらかを済ませて届け出る必要があります。届出と引き換えに免許証が交付され、そこで初めて営業を開始できます(宅建業法25条)。3か月を過ぎると、未供託の業者として免許を取り消されることがあります。

  • A:営業保証金を供託する。主たる事務所につき1,000万円、従たる事務所ごとに500万円(施行令2条の4)。供託先は主たる事務所の最寄りの供託所で、沖縄県なら那覇地方法務局です。
  • B:宅地建物取引業保証協会に加入する。弁済業務保証金分担金は主たる事務所につき60万円、従たる事務所ごとに30万円(施行令7条)。ただし協会の入会金などが別にかかります。

Aは1,000万円を動かせない状態で置くことになるので、新規開業でまず検討されるのはBです。Bで実際にいくら要るかは、協会と都道府県によって違います。沖縄県の2団体が公表している入会時の費用は次のとおりでした(2026年9月3日確認)。

項目全宅連系(沖縄県宅地建物取引業協会+全宅保証沖縄本部)全日系(全日本不動産協会沖縄県本部)
協会の入会金400,000円537,500円
保証協会の入会金200,000円80,000円(+全国不動産協会 82,500円)
弁済業務保証金分担金600,000円600,000円
減額など入会金は一括・分割を選べる20万円減額キャンペーン適用で合計1,100,000円
年会費30,000円+6,000円別途(入会時は月割)

全宅連系は入会金と分担金で120万円に、年会費と「関連団体等の費用」が加わります。全日系はキャンペーン込みで110万円に年会費が加わります。分担金の60万円は退会時に返還される性質のもので、入会金は返ってきません。どちらの協会にするかは、費用のほかに、研修や物件情報などの会員サービスも比べて決めることになります。キャンペーンは期限があるので、申し込む時点で必ず確認してください。

費用と期間の全体像

登録までがおよそ7万円、開業までがおよそ113万円で、その比が6パーセントと94パーセントであることを示した図
人の手続きと事業の手続きでは、かかるお金の桁が違う。帯は2つの合計の比。

ここまでの数字を、一人で沖縄県知事免許を取って保証協会に入る場合で足し上げます。事務所の家賃、看板、什器、法人を作るなら設立費用は含んでいません。

項目金額備考
受験手数料8,200円非課税
登録実務講習約17,600〜24,000円実務経験2年未満の人
資格登録37,000円沖縄県収入証紙
宅地建物取引士証4,500円合格から1年超なら法定講習16,500円が加わる
免許申請(知事)33,000円大臣免許なら登録免許税90,000円
保証協会の加入約110万〜120万円分担金60万円を含む。年会費・関連団体費用は別
合計の目安約120万〜130万円営業保証金を選ぶなら、協会分の代わりに1,000万円

期間は、人の手続きが合格発表から数か月、免許の審査が申請から1〜3か月程度(沖縄県の公表値は未確認)、免許後の供託・加入と届出に数週間、という組み立てです。合格発表の翌年の春から夏に営業開始というのが、順調に進んだときのひとつの像になります。

講座を比べてから決める

受講料も、各社が公表している合格率も、条件がそろっていないと比べられません。当サイトでは公式ページの数字を確認日つきで並べています。

  • 資料請求は無料で、届いてから考えれば十分です
  • 合格率は各社で集計の母集団が違うので、横並びにはしていません

当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しており、上記リンク経由の資料請求や申込みで当サイトに報酬が発生することがあります。いかなる講座も合格を保証するものではありません。

これから受ける人へ、開業を考えている人へ

これから受験する人に伝えたいのは、合格はスタートで、そのあとに6万円と数か月、開業するなら120万円前後が待っているということです。逆に言えば、受験にかけるお金は全体の中では小さい部分です。独学でいくか講座を使うかは、この全体像を見たうえで決めるほうが判断しやすいと思います。講座の受講料と各社の公表数字は宅建の講座を比べるページにまとめました。勉強のやり方は勉強法のカテゴリに書いていきます。

すでに合格していて開業を考えている人は、免許申請は添付書類が多く、事務所の要件と専任性は審査で実際に見られるところです。自分で申請する場合は、県の手引き(沖縄県は92ページあります)を最初から読むことをすすめます。申請書は県の建築指導課のページからダウンロードできます。書類の作成を任せたい場合は、行政書士が代行できます。当サイトの運営者も沖縄で行政書士事務所を営んでおり、宅建業免許の申請を扱っています。他の開業手続きは開業のカテゴリで順に書いていきます。

出典・参考(いずれも2026年9月3日確認)

  • 一般財団法人 不動産適正取引推進機構「令和8年度 宅地建物取引士資格試験 実施日程」「令和7年度 試験結果の概要」(試験日・合格発表日・受験手数料・合格率)
  • 宅地建物取引業法 3条・5条・18条・25条・31条の3・64条の9、同施行令 2条の4・7条(e-Gov法令検索)
  • 国土交通省「宅地建物取引業免許について」(大臣免許の手数料と標準処理期間)、「登録実務講習実施機関一覧」
  • 沖縄県土木建築部建築指導課「宅地建物取引業 免許申請等の手引」(令和7年4月)、「宅地建物取引士の資格登録・取引士証の交付」のページ(手数料・必要書類・3か月の期限)
  • 公益社団法人 沖縄県宅地建物取引業協会「入会案内」「法定講習会」、公益社団法人 全日本不動産協会沖縄県本部「入会案内」(入会時の費用)
  • 総合資格学院・TAC・日建学院・LEC 各社の登録実務講習のページ(受講料・構成)

本記事は宅地建物取引士の登録と宅地建物取引業免許に関する一般的な情報の整理です。手数料・入会金・キャンペーンは変わることがあり、審査の期間は申請の内容と時期によって異なります。個別の申請については、所管の都道府県の担当課または専門家にご確認ください。記載は2026年9月3日時点の公式情報に基づきます。

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