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行政書士試験は300点満点で、180点以上が合格です。そのうち記述式が3問60点を占めます。全体の2割です。
この60点は「最後に時間が余ったら書く」ものではありません。択一式だけで180点に届かせるのが構造的に難しい配点になっているからです。この記事では、公表されている数字と制度から、記述式をどう位置づけるかを整理します。数字はすべて行政書士試験研究センターの公表資料で、2026年9月4日に確認したものです。
まず配点を見る。択一だけでは届きにくい

令和7年度の配点は次のとおりです。
| 科目 | 形式 | 問数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 法令等 | 5肢択一式 | 40問 | 160点 |
| 多肢選択式 | 3問 | 24点 | |
| 記述式 | 3問 | 60点 | |
| 基礎知識 | 5肢択一式 | 14問 | 56点 |
| 合計 | 60問 | 300点 | |
記述式を0点と仮定すると、残りは240点です。合格に必要な180点を取るには、240点中180点、つまり75%を択一と多肢選択で取り切ることになります。一方、記述式で30点取れれば、残りは240点中150点、62.5%で足ります。この差が、記述式を捨てられない理由です。
合格の条件は3つあり、すべて満たす必要がある

令和7年度の合否判定基準は、次の3つをすべて満たすことでした。
- 法令等科目の得点が122点以上(244点満点)
- 基礎知識科目の得点が24点以上(56点満点)
- 試験全体の得点が180点以上(300点満点)
記述式は法令等科目に含まれるので、1つ目の122点にも、3つ目の180点にも効いてきます。基礎知識の24点は択一14問のうち6問正解で届く水準ですが、ここを落とすと他がどれだけ良くても不合格です。
知っておくべき制度:択一が基準に届かないと記述式は採点されない
試験案内に、次の記載があります。
択一式問題の採点を完了した段階で合格基準を満たしていないと認められる場合には、記述式問題の採点を行わないことがあります。この場合は、合否通知書に記述式問題の採点を行わなかった旨を記載します。
行政書士試験研究センター「試験案内」
つまり、択一で大きく崩れると、記述式に何を書いていても見てもらえません。記述式は「択一で一定の水準に乗った人が、最後に上積みするための60点」という位置づけになります。記述式の対策だけを先行させても、土台が足りなければ採点されずに終わります。
出題の形:40字程度で3問
試験案内には「記述式は、40字程度で記述するものを出題します」とあります。1問20点で3問、合計60点です。
令和7年度の実際の出題は、次の3問でした。
| 問 | 分野 | 問われたこと |
|---|---|---|
| 44 | 行政法 | 建築確認の取消訴訟について、瑕疵の内容、被告、提起すべき抗告訴訟の種類 |
| 45 | 民法 | 表見代理(110条の類推適用)を判例がどのような場合に認めているか |
| 46 | 民法 | 事務管理における費用の償還について、民法の規定に照らした結論 |
この年は行政法1問、民法2問でした。ただし試験案内に「記述式は行政法から何問、民法から何問」と固定する記載はありません。科目群として憲法・行政法・民法・商法・基礎法学から出題されるとあるだけです。過去の傾向として行政法と民法が中心ですが、これは制度上の保証ではないので、そのつもりで準備するのが安全です。
もうひとつ、採点基準は公表されていません。どの語句に何点、部分点をどう付けるかを示した資料は、センターの公表物には見当たりませんでした。予備校が公表する予想配点は各社の推定であって、公式のものではありません。
合格者の平均点は197点。基準を17点上回っている
令和7年度の合格者平均得点は197点でした。合格基準の180点を17点上回っています。前年度は198点です。
この差についてセンター自身が解説しているわけではないので、意味づけは慎重にすべきです。事実として言えるのは、合格者は基準ぎりぎりに集まっているのではなく、平均するとやや上に分布しているということだけです。記述式1問(20点)は、この17点という幅と同じ桁の大きさを持ちます。
合格率は年によって動く。10年で9.95%から15.72%
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 50,163 | 7,292 | 14.54% |
| 令和6年度 | 47,785 | 6,165 | 12.90% |
| 令和5年度 | 46,991 | 6,571 | 13.98% |
| 令和4年度 | 47,850 | 5,802 | 12.13% |
| 令和3年度 | 47,870 | 5,353 | 11.18% |
| 令和2年度 | 41,681 | 4,470 | 10.72% |
| 令和元年度 | 39,821 | 4,571 | 11.48% |
| 平成30年度 | 39,105 | 4,968 | 12.70% |
| 平成29年度 | 40,449 | 6,360 | 15.72% |
| 平成28年度 | 41,053 | 4,084 | 9.95% |
10年で最も低い年が9.95%、最も高い年が15.72%です。合格率は年によって1.5倍以上動きます。行政書士試験は上位何%を合格させる相対評価ではなく、180点という絶対基準なので、問題の難易度がそのまま合格率に出ます。「今年は簡単だったから合格率が高い」という結果論はあっても、受ける前に読むことはできません。
講座を比べてから決める
受講料も、各社が公表している合格率も、条件がそろっていないと比べられません。当サイトでは公式ページの数字を確認日つきで並べています。
- 資料請求は無料で、届いてから考えれば十分です
- 合格率は各社で集計の母集団が違うので、横並びにはしていません
当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しており、上記リンク経由の資料請求や申込みで当サイトに報酬が発生することがあります。いかなる講座も合格を保証するものではありません。
まとめ:記述式は上積みではなく、前提
ここまでを整理します。
- 記述式は3問60点。全体300点の2割を占める
- 記述式を捨てると、残り240点で180点(75%)を取ることになる
- 択一が基準に届かないと、記述式は採点されないことがある
- 採点基準は公表されていない。予備校の予想配点は推定
- 合格者の平均は197点で、基準の180点を17点上回っている
- 合格率は10年で9.95%から15.72%まで動く
記述式の対策は、択一の土台ができてから効きます。逆に言えば、択一の演習を回すことが、そのまま記述式の準備にもなります。問われているのは条文と判例の内容で、形式が違うだけだからです。
試験の日程や受験手数料、講座ごとの受講料と各社が公表している合格率は、行政書士の講座を比べるページにまとめました。合格したあとの登録と開業については開業のカテゴリで書いていきます。
出典・参考(いずれも2026年9月4日確認)
- 一般財団法人 行政書士試験研究センター「試験案内」(記述式は40字程度、択一が基準未満の場合の不採点)
- 同「令和7年度行政書士試験合否判定基準」(配点、3つの合格基準)
- 同「令和7年度行政書士試験実施結果の概要」(受験者数、合格者数、合格率、合格者平均得点)
- 同「行政書士試験実施結果の推移」(過去10年の合格率)
- 同「令和7年度行政書士試験問題」(問44から46の出題内容)
本記事は行政書士試験の制度と公表されている数字の整理です。出題の傾向は年度によって変わり、記述式の科目内訳は制度上固定されていません。受験の前に必ず試験実施機関の最新の案内をご確認ください。記載は2026年9月4日時点の公表情報に基づきます。
